法隆寺+α

<法隆寺>
 世界最古の木造建築とは思えないほど綺麗だった。1300年もの間、木造建築が健在なのは人の絶え間ないメンテナンスの結果であろう。木造の元となる木は、もともと自然の意に反して地面から生える。従って、己の自重を支えるるには自然法則に反したエントロピーが必要である。だが、人間に加工された木は、気高く天上へと向かっている。自然に反する人間のなせる業である。
 近頃は、自然が素晴らしいと手放しに評価する集団も存在する。だが、自然は、そんなに優しくない。木々よりも自然に近い(崩壊する可能性が木造よりも小さい)石造りの建造物。そんなモノですら、人が管理しなくなれば、崩壊する。ローマ時代の遺跡がその証拠だ。よくヨーロッパ人は、ローマは我々の産物だと誇らしげに主張する。だが、ローマの遺跡は大抵土へと還っている。つまり、一度、文明が崩壊したからローマの残した素晴らしいインフラを利用できなかったのだ。彼らの言う歴史の連続性は虚偽である。(日本も同様だけどね)
 法隆寺は、現代に残る人間の自然に逆らった結果だ。人間の行為の賜物だ。だが、それは必ずしも人間が自然に逆らうために建造されたものだとは思わない。ただ、人間社会で必要とされたから、1300年もの間、建っていられたのであろう。

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                           photo.1 法隆寺境内

<中宮寺>
 このお寺にある仏像を是非見たいと思っていた。法隆寺の隣にあることは知っていた。しかし、寺の正門は非常に小さかった。そして、500円という拝観料。正直、入るのを躊躇したが、二度と来ないだろうと思い直し、高い料金を払った。案の定、寺の境内も狭い。本堂らしき建物に入ってきた人々がすぐに退出してくる。まさか、見るモノが無いのではないかと思った。そしたら、案の定、見る物が無い、一つしかない。たった、一つの国宝の仏像木造菩薩半跏像だけだった。確かに、仏像の出来栄えはよい。だが、仏像一つ拝むのに500円とは酷い。名品を見れてても、資本主義の原理を気にかける私が異常なのか。それとも、このお寺の拝観料が単に高額なだけなのか。その判定を有するのは個人である。

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                           photo.2 回転率の早い博物館

<法起寺>
 法隆寺からちょっと離れているところに法起寺という世界遺産の寺がある。その道中にある寺なので寄ることにした。バックパッカーらしき人と法隆寺からの道中15分間ずっと一緒だったが一言もしゃべらなかった。コミュニケーション能力不足の自分が気恥ずかしい。やっとことで、寺に着いた。お堂には重要文化財は沢山あるもの国宝が無い。法隆寺には腐るほどあったのに、ちょいと足を伸ばすとだ。ちょいと失望した。だが、よくよく考えると重要文化財だ。筆者の生まれた県にはまったく存在しないものである。それが、普通に展示されているのだ。凄いじゃないか。だが、それを見学していた時は、重要文化財ショボイみたいな感覚に囚われていた。また、バックパッツカーの兄ちゃんとまたまた一緒で気まずいみたいな雰囲気だ。ハッハッハ、それが芸術干渉(鑑賞)には憑き物だ。

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                            photo.3 要コミュニケーション

<法起寺>
 さてさて、世界遺産だって。なんと素晴らしい。宇治のなんとか神社を始めて素晴らしい世界の財産ではないか。
 さてさて、見物はなんだ。重要文化財のデカイ仏像だって、なになに、それは楽しみだ。あれれ、ガラスが邪魔で良く見えないな、近づいても見えない。他のお宝に至っては、何の標識も無い。単に、倉庫にガラスを張っただけの宝物館だ。趣向が素晴らしい。
 次の見物はと、おう仏舎利塔か。あれでも、3段じゃないか。外見上の趣向は、何も無いな。でも、こんな田んぼの周りにある三段の塔は珍しいな。
 で次は、えーもう終わり。冗談だろう。いやいや、まだあるじゃないか。他の世界遺産では見られないぜ。

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                               photo.4 本当の世界遺産

<一心寺>
 奈良から大阪へと帰還して、ブラブラする。なんか大勢の人々が寺へと吸い込まれていく。僕も自然に足が向かう。無名の寺のはずなのに、法隆寺よりも人が断然多い。法起寺など比べ物にならない。モダンな建物、新しい仏像群、それにも関わらず人々がお寺で列をなす。一見、新興宗教だと勘違いしたが、そうでないらしい。何らかの行事とはいえ日本人はここまで信仰深かったのか。それとも、大阪が都会だから、人が大勢集まったのか。

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                              photo.5 モダンテック ブッディスト

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                      photo.6 田舎モノ&アンチ宗教者が退いた風景

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